皆さん、こんにちは!エンタメ侍です。
今回は昨年末に開催された『ジャンプフェスタ2022』での【チェンソーマン】ステージに注目し、
作者の藤本タツキ先生と担当編集の林士平さんによる対談内容を時系列順でまとめていきます。
目次
◆【チェンソーマン】ジャンプフェスタ2022まとめ
▼はじめに
2021年12月18日(土)~19日(日)にかけて開催された集英社主催の一大イベント、
『ジャンプフェスタ2022』!
本イベントでは配信のみのステージとして『ジャンプスーパーステージEX』が設けられ、
リアル会場の幕張メッセとは一味違ったプログラム内容でファン一同を楽しませてくれました!
そんな“事前収録だからこそ”の豪華キャスト&特別企画をもって各ステージが進行する中で、
DAY1の18日(土)18:45からは待望の【チェンソーマン】ステージが堂々のオンエア!
当時も軽く触れたように藤本先生の奇人解像度と第二部への期待値がグッと高まる約40分であり、
初出し情報も盛り沢山のファン必見な内容となっておりました!
少し話は逸れますが、以下の通り当日は直前に【BLEACH】ステージの枠が組まれていて
興奮冷めやらぬままに【チェンソーマン】ステージへ突入するという最高の流れだったんです!
我々ドンピシャ世代なんて『振り返り映像』の時点で既に感情はぐちゃぐちゃ!w
こんなに長尺かつ丁寧に振り返ってくれるとは想像もしておらず、この映像を見ているだけで
本作に夢中だったあの頃へと心が一気に舞い戻るようでした…。
それは登壇されていたキャスト陣も同様だった様子で、特に一護役の森田成一さんに関しては
映像を見た直後に思わず目に涙を浮かべており、それも含めて大変感慨深いものがありました。
さらには新作アニメ【BLEACH 千年血戦篇】のティザーPVまで公開される充実ぶり…!
こうして熱すぎる【BLEACH】ステージから始まった『ジャンプスーパーステージEX』ですが、
DAY1ラストには【終末のハーレム】ステージが待ち受けると…w アチアチからエチエチまで、
余すことなくまるっと包括する集英社の盤石ぶりはやはり圧巻なのであった!\(^o^)/
さて、今回はそんな盤石のラインナップの中から若干“イチャイチャ”感(笑)も漂っていた
【チェンソーマン】ステージをピックアップ!
作者の藤本タツキ先生と担当編集の林士平さんによる裏話の数々、その一部始終を
適度に注釈もはさみつつ順にまとめていきたいと思います。
ということで、対談内容に合わせて今回の構成は大きく以下の8項目となります。
▼オープニング:近況について
▼対談テーマ:【チェンソーマン】誕生の経緯
▼対談テーマ:レゼ編とクライマックスにかけての盛り上がり
▼対談テーマ:藤本タツキのオススメ作品
▼対談テーマ:藤本タツキ 漫画家への歩み
▼対談テーマ:TVアニメ【チェンソーマン】
▼対談テーマ:【チェンソーマン】第二部 学園編
▼エンディング:感想、メッセージ、プロジェクトPV
それでは以下より本ステージでの対談内容を時系列順でまとめていきます。
▼オープニング:近況について
・林:
皆さん、こんばんは。集英社の林士平(りんしへい)です。ここからは
スーパーステージEX【チェンソーマン】のお時間ということで、【チェンソーマン】を
より深く理解してもらうために藤本先生とたっぷりお話させて頂ければと思っております。
藤本先生、本日はよろしくお願いします。
・藤本:
よろしくお願いしまーす。
ドキドキしながら待っていると、開幕してすぐ我々の目に飛び込んできたのは
ひとまず淡々と進行役に徹する林さんと体面にどっしり構える腕組みポチ公の異様な図…!w
その後も特に触れられることなく場に馴染んでいくトゥーン調の『ポチタ』アバターでしたが
意外にも表情豊かな仕様になっており、会話内容や先生の心情、さらにはスタッフサイドの
少しばかりのイタズラ心なんかも反映しつつ、陰ながら今回の対談を盛り上げてくれました!
◎【チェンソーマン】連載終了後、連絡は取り合っている?
・林:
平均すると月一ぐらいお会いしているのかな?
・藤本:
まぁ【ルックバック】の打ち合わせとかもあったし、はい。
・林:
【チェンソーマン】の頃は週一で会っていてそれよりは減ったけど、
ただゆっくり話をする時間は大量にあったので。
・藤本:
月一ぐらいは絶対会ってましたよね。
◎週刊連載が終了して生活は変わった?
・藤本:
引っ越して、映画とか観に行けるように。連載してた後半の頃はコロナで
映画館にも行けなくて、AmazonプライムやNetflixで観れるからいいと思ってたんですけど
やっぱり映画館で観たいというのがどうしてもあって。
連載が終わって時間的余裕もできたので映画館に行って映画観るって機会が増えました。
◎引っ越し先も二人で決めた?
・林:
まぁ雑談ベースでどこどこら辺かな?というのをお話して。
で、決めたって聞いて“よかったな”って。
一個前の家で描いた最後の作品が【ルックバック】です。
あのような名作が生み出された訳ですが、そのメッセージ性や創作背景なども鑑みるに
【ルックバック】へ至るまでにはどこか必然的な流れすら感じられ、後に振り返った場合
本作の誕生は先生の漫画家人生の中でも大きな分岐点として刻まれているに違いありません。
まぁそれはそれとして、さっきの質問ってカップルとかにするものなんじゃ…?w
(※【ルックバック】参照)
◎ハーベイ賞2021 ベストマンガ部門 受賞
・林:
一報届いてすぐ(藤本先生に)ご連絡して。“嬉しいですね”という話をして。
・藤本:
別によくわかんないですね、ハーベイ賞って(笑)
……でもこんなこと言ったらダメだから……嬉しいです…ハーベイ賞……嬉しい…。
・林:
(苦笑)
今回の受賞も突然の報道ではありましたが読者としては至極納得といったところでした。
ただし当時の近況報告で触れた通り、こはるちゃん的にはハーベイ賞どうこうよりも
“たい焼きがおいしかった”ことの方が重要だったご様子で、以下の投稿からは
先生の“よくわかんない”という本音が透けて見えるように感じますw
結果として今回の対談では本音を覆い隠すためにほぼ自己催眠の領域へ…!\(^o^)/
今日はハーベイ賞をもらったのでたい焼きを3つ食べました。あんこ、あんこ、カスタードクリームの順番で食べました。おいしかったです。
— ながやま こはる (@nagayama_koharu) October 9, 2021
▼対談テーマ:【チェンソーマン】誕生の経緯
◎【チェンソーマン】アイデアはどこから
・林:
一番初っ端のアイデアはキャラのイラストというか、“キャラの”ね?
・藤本:
いろいろあるんですけど、絶対話せないですよね?(その)いろいろ。
話したら結構ダメなことばっかりで、話せることを話すと最初にデザインがあって。
本当はデザインが最初に先行するものってあまりストーリー作れてなくてダメだと
僕は思ってるんですけど、【チェンソーマン】に関してはデザイン先行で、
アイツが出てくる話がやりたいということで。
で、林さんは“悪役に添えるなら大丈夫だ”って言ってたけど、
僕はどうしても主人公でやりたくて…っていうことから始まっていきました。
(※第3巻『[第19話] ノーベル賞』参照)
・林:
一番最初は、僕の記憶が正しければ
“悪役にしか見えないのでこれを主人公にするのは難しいんじゃないか?”って聞いて。
僕がその時認識していたのはずっとあのチェンソーマン状態なんじゃないかって。
確か聞いたんだよね。そしたら“大丈夫です”って言ったから、
じゃあ“それでいきましょう”って(それから)ネームに移っていったはず。
で、ネームが何パターンあったか覚えてないんですよね。
・藤本:
今のかたちになる前のパターンが沢山あったんですけど、最終的に
一番ドラマのクオリティが高かった今のパターンでっていう風になっていきました。
・林:
たぶん10から…いや、20前後はあったはずなんですよね。ここ気になるって言ったら
大体翌々日とかに直したりとかして、それをキャッチボールして1話目をひたすら。
1話目が(仕上げるまでにかかった時間が)一番長かったと思います。
(※第1巻『[第1話] 犬とチェンソー』参照)
◎人間の恐怖心から生まれる悪魔という存在
・藤本:
僕がホラー映画とかが結構好きだったので、そこから引用できる描写とか
オマージュできるものが沢山出てくるだろうなって。
連載していくとネーム考える時間が一日とか、長くて二日しかなくて、
その間に考えれるもの・自分の中から出るものってすごく少なくなると思うので
絶対に自分の引き出しにいっぱいものがあった方がよくて…ってなった時に、
ホラー映画の引き出しならいっぱいあったから、恐怖で強くなるっていうものだったら
いっぱい出てくるぞって思って、そういう設定にしました。
(※第3巻『[第17話] デンジを殺せ』参照)
・林:
よく“何が怖いかな?”みたいな話は最初期の頃にして、
それは“怖いね・恐くないね”みたいな話はよくしてた記憶がありますよね。
なんか、アシスタントにも聞いてたよね?“恐いの何ですか?”って。
・藤本:
はい、聞いてました。林さんとかとそういう話をカフェでしてましたよね。
・林:
ずっとしてた。『怖い』って何だ?って。当たり前のように怖いものを羅列していって
それ以外何だろう?みたいな話をしていた記憶があるけど。それこそキャラになるかも
その段階では特に考えてなくて単純に怖いの何だって、とりあえ並べておこうって話を。
◎連載開始時の読者からの反響
・藤本:
あまり立ち上げまでの時間がちゃんともらえなくて、話を練る時間がなかったから
とりあえず作りながらでも少しでも後のこと考えていかないとって思っていたので、
【チェンソーマン】描いてて反応を追う時間なんて無いぐらい忙しかったです。
他のジャンプ作家も多分そうなんじゃないかなって思ってるんですけど。
・林:
前作の【ファイアパンチ】はゆっくりって訳じゃないもののかなり練って描けたけど、
【チェンソーマン】の時は(連載が)決まった瞬間に締切を提示されてヤバいの一言というか。
・藤本:
二ヶ月とか?
・林:
二ヶ月なかったぐらいじゃないかな?1話の反応をゆっくりお話しするなんて時間はなくて、
打ち合わせも1時間以上かけず、話した→じゃあそれネームにしますって言って終わるという。
切羽詰まってたよね?
・藤本:
はい、僕はもうなんか“林さん、わかりました”って言ったらすぐ帰って描くみたいな感じで。
大変でした。楽しかったですね。
・林:
楽しかったけど、なんかピリピリしてましたね(笑)
・藤本:
良いストレスだったと思います、はい。
◎キャラクター設定
・藤本:
最初からの(設定)が残ってるキャラってデンジとマキマぐらいで、他はもう全員違う感じです。
姫野はもうなんか結構キャラクター全部今と位置が違ってたというか、
姫野ってホントはデンジのバディになるはずで、アキの妹で、みたいな設定とかあったりして。
多分もっと長生きする予定だったと思います。
(※第3巻『[第22話] チュッパチャプス コーラ味』参照)
◎キャラクターデザイン
・林:
アキの見映えだけはデザインで何度も(検討を重ねた)。
・藤本:
あとコベニちゃんももっとピアス付けてたりして。
・林:
悩んでいるのでどれが良いですかって横並びで見せてくれたり。
何を描けば・どう描くのが格好良いですかね?みたいなのも。
・藤本:
(林さんに)デンジとアキとパワーのデザインを見せた時に
“もっと【よつばと!】みたいにしてほしい”って言われて。
で、僕わかんないから本当に【よつばと!】のジャンボと風香を描いて送ったら
“うん、こんな感じ”って返ってきて“ヤバイ、これは…!”って(笑)、
“ジャンボと風香になる!このままじゃ!”って思ってもう全然違う方向に変えていった。
(※【よつばと!】第10巻『第67話 かでん』参照)
やがて早川家として疑似家族を形成していくデンジ・アキ・パワーの3人だからこそ、
“そういったエッセンスを【よつばと!】キャラから抽出してほしい”、
そんなニュアンスだったのかな~と。また、前回のイベントで既に確認していましたが、
やはり先生自身も“コベニちゃん”呼びが定着しているようで、何より(?)です!
(※週刊少年ジャンプ2020年35号掲載『[第79話] キャッチボール』Cカラー参照)
◎林士平のお気に入りキャラ
・林:
僕はデンジが見てて一番面白いんですけどね。
・藤本:
デンジで良いんじゃないですかね。ゆうじ先生もデンジ好きって言ってました。
・林:
荒井君とかもっと見たかったけど、あそこで…こう…ね…。
掘り下げたら面白いのかなって思ってはいました。
でも死んじゃったな…っていう(笑)、悲しさとか切なさとかがありますね。
・藤本:
“コベニちゃんと天使の悪魔、どっちが生きてほしいですか?”って林さんに聞いて
“そりゃ天使の悪魔でしょ”って言われて。で、たぶん読者がそう思ってるなら
“じゃあ天使の悪魔を殺した方が良いな”って思って。
本当は今のコベニちゃんの位置に天使の悪魔がいるはずだったんですけど林さんのせいで…。
(※第11巻『[第92話] バニラスカイ』参照)
・林:
(そういえば)それ聞かれたなと。その後の展開見て本気で“こわ~”と思ったもん(笑)
藤本先生とは【ファイアパンチ】連載時にアシスタントとして関わって以来の仲で、
今現在も両者は互いに切磋琢磨し合える良好な関係を築いている模様です。
詳しくは後述の『◎長編読切作品【ルックバック】』や『◎交流のある作家仲間』へ。
◎キャラクターのフラグなき“死”
・藤本:
何かドラマがあってそれを達成せずに終わるとか・達成して終わるっていう予兆がある時点で
そのキャラが死ぬってわかると思っていて。それが『死』として完成され過ぎている気がして、
さっき言った荒井みたいに、多分あいつはもっと掘り下げようがあったと思うんですけど、
そういうキャラが死んだ方が実際の『死』に近いかなと思って、っていうのはありました。
ただ、やっぱりちゃんとドラマ作って殺すキャラもいるんですけど、
それに関して本当は僕はあまり好きじゃなくて、ジャンプでやっていくには
そういう風な死に方の方が映えるんだろうなって思って殺した記憶はあります。
◎チェンソーマンが食べた悪魔は名前の存在が消えてしまうという設定
・藤本:
これもどこまで話していいのかわからないですけど、あの頃ってもう二部作るって話をしてて。
二部で“チェンソーマンの食べたものが消える”とか、そういう設定を使いたくて。
そこからのものなのであれが………あまり話せないですよね?
・林:
うん、純粋にそのためだけに作った訳じゃなくて先の方を見据えて逆算してっていう。
6、7巻ぐらいの時には(二部のこと)話してたんじゃないかと。
(※第10巻『[第84話] 地獄のヒーロー』参照)
▼対談テーマ:レゼ編とクライマックスにかけての盛り上がり
・藤本:
【チェンソーマン】の前に【イブキ】って話を考えてて、それのヒロインの名前がレゼでした。
そういえば。あと、僕の頭の中でずっと寝る前に進めている話があって。それがレゼですね。
(※後者に関しては作品名が【レゼ】?)
・林:
“寝る前に進めている話が…”(苦笑)
◎レゼ編で描きたかったもの
・藤本:
次どういう話をやろうってなって、マキマ以外の女性とデンジが出会って・好きになって、
マキマに別れさせられる話を描きたいと思って。
で、そういう風な話を作ったんですけど、あまりにもそれをやると“あからさま”だったり
途中で“これはマキマに別れさせられる話だ!”って察せられるのが嫌だったから、
全然違う異物混ぜようと思って。
【人狼 JIN-ROH】ってアニメ映画があって、それを混ぜてわからなくした感じです。
かなりモチーフの【人狼 JIN-ROH】に似ている所があって。【人狼 JIN-ROH】でも
女の子が爆発で死ぬシーンから主人公の物語が始まっていくんですけど、
あれもレゼとかなりポージングが似ていたり、いろいろなものが似ていたりします。
(※第6巻『[第44話] バン バン バン』参照)
◎結末までの構想は最初から決まっていた?
・藤本:
ざっくりは決まっていましたよね?
・林:
ざっくりと“どうしよう?”って話はしていて“大体こんなかな?”って話をしたら
本人が“多分わかったんで”って言って帰られることが多かったという。
(結末の方向性として)“そっちにいっていいのか?”という議論なんかもして。
いろいろ話していましたね。
・藤本:
マキマとデンジってキャラクターが出た以上、多分変えようがないラストだったと思います。
(※第11巻『[第96話] こんな味』参照)
・林:
目途的にはもうこのぐらいの巻数って話を頂いていて、どう閉じていくかみたいな話を
(最終巻の)数巻前からずっとしていた記憶があります。
冷蔵庫で…食べるっていうあのシーン。
打ち合わせの時には僕が“それは多分無理かな”みたいな話をして。
・藤本:
僕はそのネームだけ描いて、もうなげて、ジャンプで無理だったらTwitterとか何でもいいから
そこに載っければいいって言ったら、林さんが“絶対だめだよ、そんなの!”って言って。
(林さんから)猛抗議の電話がかかってきて、これ出なかったらどうなるんだろうって思って
1回林さんの電話無視して!(笑)
・林:
してた…!(笑)
・藤本:
なんかワクワクして、それ。僕こういう反抗期とかもなかったから、
非行に走っている感じがあって“あぁすごい!今楽しい!”って思って(笑)
・林:
その打ち合わせ今でも僕覚えているんですけど、じゃあそのプロットを1回置いておこうと、
違うプロット考えようという話をして、違うプロットが2、3案出て。
・藤本:
それもヒドかったんですよ。
・林:
それもヒドかったんですけど(藤本先生は)“わかりました、そっちでいきます”って言って、
確実にそっちでいかない顔をして帰っていったんですよ(笑)
・藤本:
そうですね、無視する気でした。
・林:
無視する気満々だなと思って、ネーム来て“やっぱり!”って思った記憶が。
でも最終的には“そっちでいきましょう”ってなりましたから。
◎銃の悪魔とは何者だったのか
・藤本:
【チェンソーマン】って僕が語らないことで想像させて面白いって所もあるとは思うんですけど。
(とはいえ、せっかくの機会なので)答えると、銃の悪魔って完全体は足とかもあって、
骨が出てましたけど肉とかもあって、アメリカが保有している分だけを集めたらああなって、
みたいな感じがあの形態。
あそこら辺はアメリカの“自由の国”って言われてる感じとかけたかったり、
今のアメリカの銃の感じとかけたかったりして(あのデザインで)出しました。
全読者へ強烈な印象を与えた『銃の悪魔』ですが、
先生のこだわりを感じる部分はビジュアル面に限った話ではありません。
例えば“自由の国”アメリカが『銃の悪魔』を解き放つ一連の流れについて、
ここには“銃≒じゅう≒自由”という言葉遊びが仕込まれており、
『支配の悪魔』と『銃の悪魔』がぶつかり合うことで
『支配』と『自由』の対立構造が浮かび上がる構成になっているのです。
(※第9巻『[第75話] 9.12』参照)
加えて『銃の悪魔』がついに姿を現した第75話のタイトルが『9.12』と、
第11巻の表紙に続いてこれまた意味深な数字の並びが…。
表紙の方については以前の考察記事で『エレミヤ書11章11節』を示すものとして
軽く掘り下げてみましたが、今回もいろいろ考えられるでしょう。
もっともらしいものだと、日本国憲法の第9条『戦争の放棄』と
第12条『自由権及び人権』をタイトルに掲げることで、
その法を作った(とされる)国がその法を遵守する国へ銃口を向ける、
そんな矛盾した展開・情勢を際立たせている、といったところでしょうか。
他にも『新約聖書ヨハネの黙示録9章12節』の一文、
“さらに神は言われた、「これはわたしと、あなたがた及びあなたがたと共にいる”
“すべての生き物との間に代々かぎりなく、わたしが立てる契約のしるしである。”
なんてのも本編とかみ合っているように感じますね。
本当に作者が“語らない”というか、“変なことしか語らない”おかげで(笑)、
先生の仰る通りあちらこちらでユニークな漫画体験が広がっている次第です!
◎最終回“あの結末”の反応は?
・林:
読者の反応はすごいポジティブだったと思いますし、危惧していた程ネガティブな反応は無くて。
・藤本:
林さんが“叩かれるかもしれないから覚悟しておいた方がいいよ”みたいなことを言ってて、
僕はどこかに隠れに行こうって思ってて…(笑)
・林:
確か“もう気にしない方がいい”って言ってくれたんだよね?“忘れた方がいい”って(笑)
“林さんもどこか籠った方がいい”って。
・藤本:
“オレは今後もこういうことするから慣れてほしい”って…(笑)
◎第一部公安編を改めて振り返って
・藤本:
僕の好きな表現とか演出とかを直接やってもジャンプではウケないってのがわかってて、
それをこう“ハンバーガーにひとかけら毒を入れる”感じで(組み込んでみました)。
【チェンソーマン】って作品はそうだと思っていて、第一部はそればっかやってる印象で、
好きなものを載せるためにそれ程好きでもないドラマとかを作っていって。
でもドラマも描いてみたら意外と面白いなと思ったりと、いっぱい発見がある第一部でした。
自分の中ですごい成長できたと思います。
(※第9巻『[第72話] みんな一緒』参照)
◎キャラクター人気投票の結果について
・藤本:
僕は吉田君(の人気投票の結果)がもっと低いと思ってて。で、アシスタントさんに
“吉田君、人気ですよ”って言われて初めて“なんで人気なんだ?”って思って。
全然キャラのバックボーンとか見えないし。
(※第2回キャラクター人気投票 結果発表より一部抜粋)
・林:
色気なのかね?想像できる余白もあるし。面白いお客様の感想だと、
“吉田が活躍すると死んじゃうから出ないでくれ”みたいなのがあって(笑)、
なるほどと思いながら見てましたけど。
皆さんいろんなキャラを愛してくれて、本当にありがとうございますと。
・藤本:
そうですね。
・林:
メンゴ先生もね、それは単純にありがたいですし、外すのもなんか違うかなと思って。
投票して頂いてる方がいらっしゃるなら。
他作品のキャラクター名だとちょっとさすがにあれかなと思ったんですけど。
・藤本:
そうですね、著作権的に。
・林:
そうそう、著作権的に。作家さんならいいかなと思ったんですよね。
(※第2回キャラクター人気投票 結果発表より一部抜粋)
横槍メンゴ先生が178票を取得してなんと第71位にランクイン!
なんだったら前回が第121位だったのでランクアップまでしている始末…!w
その経緯としては、ひとえに毎週【チェンソーマン】が繰り広げる不可避の絶望劇を
あくまでも一ファンとして素直に最前線で受け止め・そのまま散っていく(笑)、
そういった“心が壊れゆく様”をリアルタイムでTwitter上に発信し続けた
まさに“ギリギリでいつも生きて”いる『Real Face』な生き様が、同じく
月曜日を迎えるたびに苦悶し続けていた読者一同へ圧倒的な共感を生んだからでしょう。
なんかもう認めざる得ないけど人生のテーマソング完全にReal Faceなんだな、自分…ってくらい常になにかに迷った時脳内で「ギリギリでいつも」が流れてる 気づいてた 認めるのに時間かかったが確実に流れてる
— 横槍メンゴ【推しの子】 (@Yorimen) June 16, 2021
特に週刊少年ジャンプ2020年39号に掲載された『[第82話] 朝食はしっかり』、
そこでついに描かれた“デンジとマキマさんの決定的な瞬間”を受けては
さすがのメンゴ先生も耐え切れず、こちらはこちらで『休ツイ宣言』という
“いよいよな事態”にまで発展していたあの日がなんとも懐かしい限り…!
ちなみに先程の“第71位『NO IMAGE』横槍メンゴ”に合わせ、メンゴ先生の
Twitterのプロフィール画像が一時期『NO IMAGE』だった事実もお忘れなく…!w
【休ツイのお知らせ】 pic.twitter.com/Srsqtal3wi
— 横槍メンゴ【推しの子】 (@Yorimen) August 30, 2020
▼対談テーマ:藤本タツキのオススメ作品
◎オススメの映像作品
・藤本:
僕はもうNetflix版の【呪怨:呪いの家】。ゆうじ先生と1日話してました。
大好き。最高でした。ちゃんと撮り方の上手い人が撮ると、構図を意識するだけで
こんなに話の間が持つんだって、面白くなるんだって思って感動して観てました。
僕これ多分永遠に話せますよ、これがどうだったとか(笑)
そういう“何が面白かったか”って話をずっと林さんとしてて。
・林:
【呪怨】は確かに。それこそ賀来君も飲み屋にいて一緒に喋ってたよね。
・藤本:
ずっと【呪怨】の話してました。
・林:
会う度に予告編観たりとか“あれ楽しみですね”、“あれ観ましたか?”とか。
皆観ていたらネタバレOKで喋っちゃうと。逆に聞いた後で気になって観ちゃうことも。
・藤本:
映画に限らず予告を観るのが好きで。僕全然ゲームしないんですどそのトレーラーとかも。
『シネマトゥデイ』っていうYouTubeのチャンネルがあって、
予告をいっぱい載せてくれているので、そこで観て面白かったやつは映画館に行ったり。
・林:
だから映画の“観て下さい、コメント下さい”っていう依頼が多くて。最近ぼんぼん観てね。
・藤本:
はい、ありがたいです。タダで観れるし。
・林:
【サイコ・ゴアマン】とか、あれはちょっと“大丈夫か?”と思うぐらいの予告だったから
どうかなと(藤本先生に)送ってみたら“面白そうなんで観ます”と。
で、観たら(本来は)コメント依頼だったのにカットが上がってきたから(笑)
(※藤本タツキ寄稿【サイコ・ゴアマン】描き下ろしイラスト)
・藤本:
面白かったです【サイコ・ゴアマン】。
【チェンソーマン】でやりたいけどやれなかったっていうか、やる勇気がなかったことを
堂々とやってくれてて感銘を受けました。最近だと【真夜中のミサ】がすごい面白くて。
どこが面白かったかを言うとネタバレになっちゃうのであまり言えないですが。
・林:
ネタバレ聞いても面白いとは思うけど、ただまぁ全く視聴体験が違うだろうね。
・藤本:
そうですね、やめた方がいいと思います。
◎最近読んでいる面白いマンガ
・藤本:
最近は【高校生家族】がすごい好きで。
(※週刊少年ジャンプ2020年41号掲載【高校生家族】『第3話 ぼくらの教室』Cカラー参照)
・林:
自社なのに。
・藤本:
そうですね、使いやすいんじゃないですか?(笑)
・林:
逆に珍しいっていう(笑)
・藤本:
ギャグとしても面白いし、ドラマも面白いし。お父さん・お母さん・妹が高校に入ってきて、
その時点でリアリティレベルが低いと思うんですけど、青春パートに入ったり
ちゃんとしたドラマ作る時だけリアリティラインが高くなってドラマのレベルも上がるんですよ。
それめっちゃ面白くて、オススメです。
(※【高校生家族】第2巻『第28話 俺らの黄金時代』参照)
・林:
あまり見ない落差みたいな(笑)
・藤本:
【高校生家族】も僕がどうこう言って見るよりも、ネタバレするよりもゼロから見てほしいんで。
・林:
漫画の数は多分相当読んでるから会う度にオススメするのが変わってて、
【高校生家族】を言い始めたのは先週だな、と(笑)
・藤本:
最近は【高校生家族】で。
・林:
ちば先生の連載もやっぱり面白い?
・藤本:
そうですね、ちば先生の【ひねもすのたり日記】とかも面白いし。
【おかえりアリス】とかも面白いし。
・スタッフ:
松本大洋先生の【東京ヒゴロ】、すごい面白かったです。
・藤本:
あぁ、面白かったですね。
・林:
松本先生から見える景色ってあんな感じなのかなと思いながらね。
・藤本:
あまり編集視点のお話、漫画のそういうのって聞かなかったなって思って。面白かったです。
▼対談テーマ:藤本タツキ 漫画家への歩み
◎漫画家を目指したきっかけ
・藤本:
漫画家になりたいってよりも何か創作する仕事がしたくて。で、僕が普通の仕事絶対できなくて。
集中力がなかったり、なんか“そういう感じの人”だったから…。
“漫画家になれなかったら多分ニートになってたね”って皆から言われるんですけど、
だから(漫画家に)なるしかなかったです。なれて良かったです。
ギリギリどうにかなりました。危なかったです。
・林:
(苦笑)
そこで出てきた『恐怖の家族会議』秘話なども同記事でまとめているので、詳細については
質疑応答コーナー『チェンソーマンQ』の中の『◎Q.1 なぜマンガ家に?』をご参照下さい。
◎少年時代に読んでいたマンガ
・藤本:
何でも面白いものは見てました。【ONE PIECE】とかも勿論見てたし。
・林:
なんか、月ジャン(※月刊少年ジャンプ)読者だったって話?(をしてたよね?)
・藤本:
月ジャンの【ドラゴンドライブ】とか見てました。
・林:
あと、柴田亜美先生って言わないっけ?【自由人HERO(フリーマンヒーロー)】?
・藤本:
あっ【自由人HERO(フリーマンヒーロー)】見てました!古本屋にあったから買って。
安いやつは…あっ…でもヒドイ発言ですよね…これ。
・林:
いやいやいや。
・藤本:
安くなってる漫画を全部一通り買って。面白くても面白くなくても買って読んでました。
僕の地元に“誰が行くんだ?”ってぐらいボロボロで危ない古本屋があって。
そこ漫画が超安くて、そこで買ってましたね。もう潰れたらしいです、そこ。
僕がどうにか地元にいる間やっててくれて良かったです…。
◎2人の初めての出会い
・林:
(藤本先生が)17の時に作られた作品を『ジャンプSQ.』の月例賞に投稿して頂いて、
最終候補(という結果に)。で、僕が担当になり、お電話したところがスタートですね。
その後はひたすら電話で打ち合わせを重ねて。その頃は山形ご在住だったのでお電話でずっと。
1年か1年半後ですかね?2年後?多分読切デビューしたぐらいの時に、僕が仙台出張する時に
初めて“交通費払うので来て下さい”って言って仙台まで来てもらって、お会いして。
初めてお会いした日に寿司食ったんだっけ?
・藤本:
寿司食いました。シャリにもう味かかってて醤油とかかけなくていいんだな~って思って。
あっスゴイ!と思って、高い寿司ってそうなんだって。
・林:
本屋に行って本を沢山買って寿司食って“じゃねー”って言って帰った記憶がありますね。
◎担当編集になった経緯
・林:
まぁ若いしチャレンジングな作風なんで、
なんか編集部的には…なんだろ…“変な子じゃないのかな?”みたいな雰囲気の(笑)
でも電話したらちゃんと普通にお話しできたので“全然何も問題ない!”って感じですかね。
(作品の)内容的には攻めてるんで“どんな感じの人かな?”っていうのはありましたけど。
(編集部内での)一番下が一番良い賞の作家を取るんですよね。
で、僕は確か最若手ではなかったので最終候補の中から選べるぞってなって、
じゃあこの先生を担当させて頂きますって。下から順で指名制なんです。
新作ネーム来るのが早かったんですよ、確か。もう翌週くらいには送ってきてくれて、新しいの。
そこからすごいペースでどんどん新しいものを送ってくる人だったので。
・藤本:
お金欲しかったんで、絵の具とか買いたかったし。
・林:
すごいスピードでネーム送ってくるから面白いなーって思いながら打ち合わせしてましたけどね。
セルフ没にするのめちゃくちゃ早いんですよ。僕が“こことこことここが気になる”て言ったら
“じゃあもうこれはやりません”って。
・藤本:
もう(お話の)『核』が気になる時点でダメなんだなって思って。
ちょっとした横道のここがなんかわかりづらいとかだったら全然変えてもいいと思うんですけど、
僕が伝えたいこと、『核』がそもそも間違ってたら…。あまり執着しない方がいいと思ってて。
・林:
“ここ直すといいかな”って提示しても次の週には違うネームが上がってくるみたいな、
そんな感じの打ち合わせをしていた印象ですね。
◎初連載作品【ファイアパンチ】
・林:
2回落とされて。始める気がなかったんですよね、その時の編集長は。
始める気が全くないリアクションだったんで。
“暗いからダメ”って言われたらこの作品絶対始められないなって思って。
逆に、結果プラス(『少年ジャンプ+』)で良かったですよね?
・藤本:
はい。プラス最高です、ホント。
・林:
はい(笑)
・藤本:
別にでも【ファイアパンチ】ダメだったらダメで。
・林:
まぁ違うの描いてただろうけど。まぁやりたかったよね?
・藤本:
それが面白かったらやりたかったし・面白くなかったらやりたくなかったし。
僕の意見とかってそんな重要じゃない気がしてて、客観的な複数の意見が欲しかったです。
◎短編集【17-21】【22-26】
・藤本:
今よりもさらに未熟だった頃なんで、今だったらああしたいこうしたいとかあるんですけど。
“もっと頑張らなきゃな”って思いながら見てました。
・林:
結構時間かかったんだなって、読み返して年齢数えたら。
もっと早くいったような印象があるけど思いのほか。出会ってから初連載まで6年かかってるし、
時間かかったんだなっていうのは思いましたね、改めて。
最初は(藤本先生が)“出したくない”ってすごい言われてたんで、
“出した方がいいよ、カタチにしましょ”って話をして。
・藤本:
なんか無料で公開したかったんですよね。もうホントに未熟な作品で。
これに関しては“見るに値しない”っていうか、これでお金取るのは申し訳なかったんで。
(※ここでおそらくスタッフから“特に思い入れのある作品は?”という質問が入っています。)
・林:
僕はもう“【シカク】が好きです”ってお伝えはしてるので。
・藤本:
作品描き終わった後にはもう何も無くなってるんで、そんなに…。無いです。
・林:
なんか結構本人変わった瞬間でもあるなって感覚はあるんですけどね。【シカク】前後で。
なんとなくですけど、なのでよく【シカク】好きって言っちゃってますけどね。
◎長編読切作品【ルックバック】
・林:
描きたいものがあるっておっしゃってたので。お話も面白そうだったので
じゃあそれやってから(ということに)。あと、アニメの時期も合わせるのであれば
間に読切何本か挟んでもいいんじゃないでしょうか?ってお話をして。
で、すごい面白いのを作って頂けたので。逆に言うと間に挟んだ方が…。
・藤本:
読切は絶対描きたいって話はしてましたから。
・林:
それこそ3、4巻ぐらいの時に時間があったら読切描きたいっておっしゃってて。
・藤本:
すぐ【チェンソーマン】の二部始めるとしてもその間に一回読切描きたいって話はずっとしてて。
【チェンソーマン】を客観的に見れる呼吸を置きたくて、読切を描きたかったです。
全然、連載と使う脳みそが違うので。連載よりもずっとコントロールできるんですけど、
別にコントロールできることが面白さに繋がるとは思ってなくて。
週刊で19ページを載せる面白さって絶対あると思ってて。読切だと全然違う脳みそを使って、
それが休みになるのかどうかはわからないですけど。
・林:
まぁでも、違う脳みそを使うってのは大事だもんね。
・藤本:
はい、楽しいです。【ルックバック】って多分そんなに僕投影してる部分なかったんですけど、
これも他のインタビューか何かで言ってるんですけど、描いてゆうじ先生に見せた時に
“これはお前の物語だから名前変えろ”って言われて。ホントは最初名前が…なんだっけ?
『ののせ』と………まぁ名前違ったんですけど『藤野』と『京本』っていうのはゆうじ先生から
そういう風に“ちょっと自伝風にしろ”って言われたから。
(※【ルックバック】参照)
・林:
描き上がった後ぐらいかな?
・藤本:
はい、描き上がった後ぐらいに名前を変えました。まぁ全然自伝とかじゃないんですよね。
・林:
まぁ見てきた景色はかなり反映してるけどっていう。
・藤本:
はい。僕はもう感想とか見ないようにしてて。僕は結構影響を受けやすくて。
Twitterの感想を見て次作る話とかが変わったりしたくないから、見ないようにしてます。
ただ、こういう取材の場でいろんな方が褒めてくれてるって聞くと嬉しいし、
“これからもっと頑張らなきゃ”っていう風には思ってて。
どんどん改善していきたい所もあるし、精進していきたいです。
◎林士平は信頼できる編集者?
・藤本:
わかんない…信頼…どうなんだろ…?信頼していないのかもしれません…(笑)
・林:
(笑)
・藤本:
まだ疑いながらこう、お互い距離を取って。
・林:
確かに、ずっとこの距離だよね。
・藤本:
別に信頼って…なんだろう…。僕は自分が物語を作ってると物語の中に入ってしまうので、
目線があやふやになっちゃうから、林さんに限らず誰か他の人の意見をとにかく沢山聞きたくて。
で、林さんはやっぱり他の(担当作家や担当作品での)経験があるから、
物語を見る時はちゃんと“他人でいてくれる”から、そこはありがたいです。
◎交流のある作家仲間
・藤本:
【ダンダダン】の龍さんと今【アヤシモン】描いてる賀来ゆうじ先生、あとアシスタントさんとは
皆仲良くて、これから連載していく人たちもいっぱいいると思うんですけど、その人たちとか。
・林:
基本的にはアシスタント繋がりで仲良くなった人たちですね。
・藤本:
コロナで『Skype飲み』みたいなのが流行った時はそれ試したりしてました。
作品の相談とかしたり、何が面白かったよって話はずっとしてます。
・林:
比較的近いというか、しょっちゅう話したり飲んだりはしてるなって。
作家さんによると思うんですけど、【ファイアパンチ】の職場は皆さん居心地良かったのか、
仲良くなったなって印象がありますね。
同誌で組まれた藤本先生のインタビュー記事にて
漫画家同士の横の繋がりを感じさせる裏話的なエピソードがいくつか確認できます。
“背景に作者の名前が刻まれてきたことの弊害”とか本当に最高なので(笑)、
三浦建太郎先生の特集記事など企画盛り沢山のこちらのムック本もぜひお見逃しなく!
(※第9巻『[第75話] 9.12』参照)
◎小学3年生の妹 ながやまこはる
・林:
【ファイアパンチ】の前に一応タイトルで(検索をかけて)どこか情報が漏れていないかとか、
どんな反応してるか見た時にそのアカウント“私のお兄ちゃんが連載始めます”って言ってるから。
・藤本:
怖いっすよね…そりゃ…。
今日はおにいちゃんの漫画がジャンプ+にのってます。タイトルは忘れました。よろしくおねがいします。
— ながやま こはる (@nagayama_koharu) April 17, 2016
・林:
結構サイコパスじゃないですか、そんなのは。妹いるなんて聞いてないし“コエーな”って思って。
で、“弁護士に訴えようと思うんだよね”って言ったらすごい気まずそうな顔してるから…。
・藤本:
ヤバかったですよね、自分と戦わなきゃいけなくなった訳ですから…(苦笑)
・林:
そう(笑)あれはビビったよなぁ…怖いって思ったしなぁ…。
でも、もしかしたら一番正しいアカウントの運営方法なのかもなって今では思ってます。
距離感があって作家さん本人ではなくってのが良いのかなって。
・藤本:
でもなんか、おでんとか食べてないのに“おでん食べました”とか書くんですけど、
“どうなってんだろう、オレ”って。“大丈夫かな?”って。
・林:
(苦笑)
・藤本:
“何してんだろう?”って時々思って。
・林:
まぁ違うペルソナ、要するに小学生の子になり切ることは意外と自分にとっては…。
・藤本:
『ながやまこはる』を演じていくうちにだんだん僕が『ながやまこはる』になっていってて。
“オススメです”とかも口癖になっちゃったし、木とか川とか見て綺麗って思うようになったし、
良かったのかもしれません。
振り返ってみれば先生の『ながやまこはる』化が日々進行していることは明らかであり、
割と序盤からこはるちゃんの投稿と何ら遜色ないクオリティ(?)になっていて笑いますw
また、境界線が曖昧なのは逆も然りで、稀に『ながやまこはる』アカウントは
藤本先生の貴重な描き下ろしイラストを放出してくれるため、
やはりファンにとっては見逃せない要チェックな情報ソースといえるでしょう!
ただし、大半はクソみたいなつぶやきである模様…!w\(^o^)/
(※2018年4月23日投稿:『釘崎 野薔薇』描き下ろしイラスト)
▼対談テーマ:TVアニメ【チェンソーマン】
・藤本:
楽しみです!
・林:
初めてのアニメ化ですからね。どんな風に藤本先生の絵が動くのか本当に楽しみですけどね。
◎ティザーPVを視聴した感想
・藤本:
家や瓦礫が吹き飛んでいくところがあるんですけど、すごい頑張って描いてるなって思って。
自分は今原稿をやっていてこういうシーンを描ける人がアシスタントに欲しいというか、
“いくらで来てくれるんだろう?”って考えちゃいます(笑)
・林:
あのティザーPVのクオリティで全部描いてほしいなって思っちゃうぐらい。
欲張りなことなんですけどあれで動いたら嬉しいな~と思いながら、MAPPAさんに
“あれでなるんですよね?”って聞いちゃって、イヤ~な空気が…(苦笑)
プレッシャーっぽくなっちゃって。期待なんだけど…まぁプレッシャーかなって。
◎TVアニメに期待すること
・藤本:
演出とかを見るのが好きで。それは映像に関しても漫画的表現に関してもそうなんですけど。
【チェンソーマン】って映像から引用しているようでかなり漫画でしかできない表現をしてて、
そのままアニメ化しちゃうと違和感がある風になったり、ダサくなっちゃう所もあるんで
アニメはアニメで“原作は無視していい”ぐらいの新しい演出を見せてほしいと思っています。
・林:
脚本は一応もう全て読ませて頂いてお戻ししているので、あとはアニメサイドが
絵コンテや絵に起こすっていう部分を今やって頂いていると思うんですけど。
・藤本:
僕はアニメとか映像とか素人なんで、わかってる人たちが自分の力を100%出せるような感じで
やってもらえたらなって思うんで、絶対に僕の方から“こうしてほしい”みたいに
口は出さない方がいいかなって思っちゃって。
・林:
“ここが原作的に違うよ”ってところとかの指摘程度というか、本当にそれぐらいで。
あとはもう皆さんの思ってるフィルムにして頂ければなっていう風に思いますけどね。
(既にいくつか)絵コンテも見させてもらいました。
・藤本:
あまり動いているものを見ないと想像できないですよね?いまいち。
だから僕たちもアニメが放送されるのが楽しみです。
・林:
確かに。実際、絵コンテのままじゃないからね。
どういう風に動くのか、あそこからは想像しきれない部分もあるので。
◎アニメ制作会社MAPPAからのメッセージ
・林:
はい、コメント頂いたのでお伝えしますね。
『アニメ【チェンソーマン】はコンテや設定など日々上がり続けています。』
『藤本先生にも協力して頂きながら皆様に最高の作品をお届けすべく、』
『絶賛鋭意制作中です。原作・アニメ共、引き続き応援よろしくお願い致します。』
と、MAPPAさんからコメントを頂きました。
・藤本:
オレ全然協力してないから…(苦笑)申し訳ないです、そんなこと言って頂いて…。
・林:
(苦笑)
▼対談テーマ:【チェンソーマン】第二部 学園編
◎第二部 学園編の進捗状況
・林:
web上でアシスタント募集だけ出しているのでゆるやかに情報は出ているんですけど、
新作の読切の方を描いて、それを描き終えてから【チェンソーマン】の第二部の方に入ると。
なので(今現在は)まっさらな新作を描いていらっしゃる状態ですね。
ひたすらペン入れをしているので。
・藤本:
【チェンソーマン】じゃないやつのペン入れをしています。申し訳ないです…。
でも、やりたいことなんで…申し訳ないです…。
・林:
いやいやいや(苦笑)そちらもお楽しみにして頂きつつ。第二部もその後に製作開始しますので。
=======※追記_ここから=======
2022年4月11日、当日の近況報告でも触れた通り『少年ジャンプ+』にて
ついに藤本タツキ先生の新作読切【さよなら絵梨】が公開されました!
本作もいずれ書籍化されるとは思いますが、全編が無料公開中のうちにぜひ一読を…!
=======※追記_ここまで=======
◎学園編はどんな物語になる?
・藤本:
結構やることは決まってて、だからネタバレのことしか話せないです。
“こういうことが起こります”という話しかできないので、それは漫画で読んでほしいです。
・林:
(今の段階で出せる情報としては)吉田が出る…!
・藤本:
吉田が出ます、はい(苦笑)
・林:
というとこぐらいですかね。
せめて始める時期の目途だけお伝えできればと思うので、まぁ『2022年初夏』ということで。
・藤本:
…しょ…『初夏』…『夏』…!『夏』って言って下さい…!
・林:
(笑)じゃあ『初夏』よりの『夏』を目指して描いていくということで。
やっと(第二部 連載開始の)時期が出たと思うので、お待ち頂けたらと。
・藤本:
はい、頑張ります。
【チェンソーマン】の第一部が終わった後に【ルックバック】、その後にも読切が一つあって
それも全然血とか出てこないやつなので、早く血とか内臓とか描きたいっていう(o^-^o)
そういう気持ちがあるので。でも、それは別にジャンプでやってることと変わらないので。
別に『少年ジャンプ+』に移ったからといってグロくなる訳じゃないです。
・林:
“エグみ”を目指すってよりはね、面白いものを描こうと。
・藤本:
また連載として頑張るぐらいで。第一部の頃よりも絵もっと上手くなりたいなってぐらいです。
▼エンディング:感想、メッセージ、プロジェクトPV
◎本日の感想
・林:
昨日も会ってるので(笑)
・藤本:
昨日も取材あってかなり話したから、もう話すことないぐらい話したから(笑)
・林:
また当分はお互い好きなもの観て、また会って“これ観たよ”みたいな話をするのが…再来週?
あ、でも日曜日にも会うから…(笑)
・藤本:
またすぐ会いますもん(笑)
・林:
結構会ってるんですよね。まぁ視聴者の皆さんにこんな過去がありましてみたいなのを話すのは
気恥ずかしいですけど、まぁお話できて良かったです。
・藤本:
良かったです。
◎藤本タツキから視聴者へメッセージ
・藤本:
【チェンソーマン】に限らず、多分僕はこれから沢山作品を作っていくと思うので、
【チェンソーマン】をみた方が楽しめるような作品ばかり作っていくので、
【チェンソーマン】も次の読切もよろしくお願いします。
◎林士平から視聴者へメッセージ
・林:
2022年には【チェンソーマン】の第二部もあり、新作の読切もあり、アニメも始まります。
皆様の応援が本当にありがたいので、今日見に来て頂いた方もそうですし、ご友人やご家族にも
お勧めして頂いて一緒に楽しんでくれたら嬉しいなと思っております。よろしくお願いします。
それでは皆様、2022年以降も【チェンソーマン】の展開を楽しみにしていて下さい。さようなら。
・藤本:
サヨナラ~。
(※【チェンソーマン】第一部完結記念 描き下ろしイラスト)
◎【チェンソーマン】プロジェクトPV
例の第9巻発売記念スペシャルPVなど、過去のPV素材が随所に散りばめられており、
原作の魅力を凝縮したこの新たな公式MADによって我々の感情が一層高ぶる中、
最後には第二部が2022年夏に『少年ジャンプ+』にて連載開始との再アナウンスが!
TVアニメ【チェンソーマン】が2022年に放送されるという待望の新情報も明らかに…!
短時間ながら本作の軌跡を見事に振り返りつつ、今後への期待を大いに高めてくれる、
そんなラストを締め括るにふさわしい映像作品をもって本ステージは終了となりました!
◆投稿動画
▼イベント紹介動画
【わたモテ】や【チェンソーマン】など、大好きなエンタメ作品のイベント開催時は
できる限り実際に参加し、その都度『紹介動画』を作成してきました。
これまでに作成した『紹介動画』は全てYouTubeで公開していますので、
何か気になる作品・イベントがありましたら、どうぞお手隙の際にでもご確認下さいませ。
▼聖地巡礼動画
現在、YouTubeで【わたモテ】の聖地巡礼動画を公開しています。
第1弾:【伏見稲荷大社】
第2弾:【東京ディズニーランド】
原作で描かれた“あの日々”の追体験として、どうぞお楽しみ下さい。
また、皆さんが聖地巡礼する際の参考にでもして頂ければ幸いです。
チャンネル登録の程、何卒よろしくお願い致します。m(_ _)m
YouTubeチャンネルはこちら!:
【エンタメ日和のエンタメチャンネル】
◆おすすめ電子書籍サービス [PR]
▼eBookJapan
電子書籍をご利用なら最初におすすめしたいのがeBookJapanです!
約50万冊という世界最大級の品揃えに加え、
一冊まるごとタダで読める無料まんがが提供されています。
無料まんがのラインナップは定期的に更新されるので要チェックですよ!
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コアなジャンルを含めた7000タイトル以上の作品を好きなだけ堪能できますよ!
なお、マルチデバイス対応でスマホやPC以外にもTVやPS4などでも視聴が可能です。
そしてDMM動画もDMM見放題CHライトも共通のDMMポイントが利用できるため、
普段からDMM関連のサービスに慣れ親しんでいる方には“特におすすめ”といえるでしょう!
◆まとめ
以上が『ジャンプフェスタ2022』における【チェンソーマン】ステージのまとめとなります。
約4か月も前のイベントを今更まとめるとか自分でもどうかしてると思いますが(笑)、
今後さらに注目を集めていくだろう本作ですから、今回のように作者自らが語る裏話の数々は
この先新たにファンとなる方々にとっても知りたい貴重な情報でしょうし、
将来的にはその時代ごとのムーブメントを振り返るための記録資料にもなる………はず!w
藤本先生の作品を掘り下げる・理解する上で本記事が何かしら役立っていればと思います。
そして直近の先生のトピックスとしてやはり注目なのは新作読切です!
現時点ではまだ詳細不明なものの、新年度を迎えたことですしそろそろ続報も流れる頃でしょう。
TVアニメに関しても同様、今後しばらくは公式アナウンスに目を向けておきましょうね!
それでは皆さん、素晴らしいエンタメ人生を~(。・ω・)ノ゙
コメント
すごい!すごい!ありがとうございます!!!ありがとうございます!!!
ジャンフェス見れてなかったので本当に嬉しいです!そしてわかりやすいです!
うわ〜〜〜〜ありがてえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
コメントありがとうございます!楽しんで頂けたようで何よりです♪
今後も【チェンソーマン】ワールドをたっぷり満喫していきましょうね!(*´꒳`*)